日本における資産形成の大きな鍵を握るNISA制度は、2024年より新たな改正が加わり、「新NISA制度」として生まれ変わります。それ以前かつ現行NISAと新NISAのどちらを使うべきか、またどのような違いがあるのかを知ることが今後の資産作りにおいて重要になります。この記事では、新NISAと現行NISAの違いや新NISAのポイントについて解説し、これからの投資や資産形成において有効な情報を提供します。今後の資産作りを考える方はぜひとも参考にしてください。
1. 2024年スタートの新NISA制度とは?
2024年に導入される新NISA制度は、日本の投資に関する制度の一つです。NISAとは、少額投資非課税制度の略称です。現行のNISA制度は2023年で終了し、その後は2024年から新たに改正された「新NISA制度」が開始されます。
新NISA制度の創設は、政府の「資産所得倍増プラン」の一環として実施されます。現在の日本の家計資産は、預貯金が主であり、株式や投資信託への投資比率が他国に比べて低いため、家計資産の増加率が低い状況にあります。そのため、新NISA制度は現行のNISA制度を見直し、投資への意欲を促進し、日本の家計資産を増やすことを目的としています。
新NISA制度のポイントは以下のようになります。
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投資可能期間と非課税期間の変更: 現行のNISA制度では、投資期間と非課税期間に制約がありますが、新NISAでは投資期間が恒久化され、非課税期間が無期限となります。
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投資枠の変更: 新NISA制度では、つみたて投資枠と成長投資枠の2つの枠が設けられます。つみたて投資枠は現行のつみたてNISAの3倍に拡大され、成長投資枠は現行の一般NISAと同じく年間120万円となります。
新NISA制度は、既に一般NISAやつみたてNISA、ジュニアNISAを利用している方にとっても、心配や不安な点があるかもしれません。しかし、旧NISAと新NISAは別々に扱われるため、既存のNISA口座をそのまま保有することができます。
以上が2024年スタートの新NISA制度の概要です。次のセクションでは、現行NISAと新NISAの違いや新NISA制度のポイントについて詳しく説明していきます。
2. 現行NISAと新NISAの違い
新しいNISA制度と現行のNISA制度にはいくつかの違いがあります。以下では、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
2.1 投資枠の構成
- 現行NISA:一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの3つの投資枠
- 新NISA:成長投資枠とつみたて投資枠の2つの枠
新NISAでは、投資スタイルを選択することができるため、個々人のニーズに合わせた資産形成が可能となります。
2.2 非課税期間の変更
- 現行NISA:一般NISAが最長5年間、つみたてNISAが最長20年間の非課税期間
- 新NISA:非課税期間が無期限
新NISAでは、一度非課税期間を終えた後でも、いつまでも運用益を非課税で保有することができます。
2.3 投資上限額の変更
- 現行NISA:一般NISAの年間投資上限額は120万円、つみたてNISAの年間投資上限額は40万円
- 新NISA:成長投資枠が年間240万円、つみたて投資枠が年間120万円の投資上限
新NISAでは、成長投資枠とつみたて投資枠の合計で年間360万円まで投資することができます。
2.4 生涯投資枠の設定
- 新NISA:生涯投資枠の上限は1,800万円であり、そのうち成長投資枠の上限は1,200万円
新NISAでは、売却の翌年に生涯投資枠の上限額が復活するため、翌年から新たな投資を始めることができます。
2.5 両制度の併用が可能に
- 現行NISA:一般NISAとつみたてNISAのどちらかを選択して利用することができるが、両方を同時に利用することはできない
- 新NISA:成長投資枠とつみたて投資枠の両方を併用することが可能
新NISAでは、両方の枠のメリットを活かした資産運用が可能になります。
以上が、現行NISA制度と新NISA制度の主な違いです。新NISAでは投資枠の構成や非課税期間、投資上限額、生涯投資枠の設定などが変更されることで、より柔軟かつ長期的な資産形成が可能となります。
3. 新NISAのポイント【旧NISAとの比較】
新しいNISA(新NISA)制度には、旧NISAと比較していくつかのポイントがあります。以下に新NISAの主なポイントを紹介します。
一般NISAとつみたてNISAの併用が可能になった
新NISAでは、一般NISAとつみたてNISAを併用することができます。これにより、長期的な成長に適した投資と定期的な投資を組み合わせることが可能になります。投資手法を組み合わせることで、より効果的な資産形成ができます。
年間投資上限額が最大360万円に拡大された
新NISAでは、年間投資上限額が最大で360万円まで拡大されました。つみたて投資枠では年間120万円、成長投資枠では年間240万円まで投資することができます。これにより、より多くの資金を投資に回すことができ、将来の資産形成をスピーディに進めることができます。
生涯非課税限度額が最大1,800万円になった
新NISAでは、生涯非課税限度額が最大で1,800万円まで設けられています。生涯投資枠の上限は1,200万円であり、そのうち成長投資枠は1,200万円まで利用できます。これにより、長期間にわたって積み立てた資金を非課税で運用することができます。
非課税保有期間が無期限になった
新NISAでは、非課税保有期間が無期限になります。一般NISAは最長5年、つみたてNISAは最長20年まで非課税期間がありましたが、新NISAでは保有期間の制限がなくなりました。これにより、投資の成果を長期間にわたって非課税で享受することができます。
制度が恒久化される
新NISAは2024年から恒久化される制度です。これにより、長期的な資産形成を行う場合でも制度の変更や終了を心配せずに投資を行うことができます。
新NISAは、旧NISAに比べてより柔軟な制度となっています。これらのポイントを押さえて、将来の資金作りを計画しましょう。
4. 新NISAを最大限活用するためのコツ6つ
新NISA制度は、将来の資金作りに最適な制度です。以下に、新NISAを最大限活用するためのコツ6つをご紹介します。
1. 適切な金融機関を選ぶこと
新NISAを有効活用するためには、適切な金融機関を選ぶことが重要です。口座開設手続きや手数料の比較などを行い、自分に合った金融機関を見つけましょう。
2. ダイバーシフィケーション(分散投資)を意識すること
新NISAでは、更なる成長投資枠の追加やつみたて投資枠の活用が可能です。この機会に、異なる資産クラスへの分散投資を意識し、リスクを分散させましょう。
3. 長期的な視野で投資すること
新NISAは非課税保有期間が無制限となっています。長期的な視野で投資し、資産の成長を追求しましょう。短期的な値動きに左右されず、着実に資産を増やすことができます。
4. 個別株式や投資信託を適切に選ぶこと
新NISAでは、個別株式や投資信託を活用することができます。しかし、自分に合った適切な銘柄や信託を選ぶことが重要です。投資情報を入手し、慎重な選択を行いましょう。
5. 定期的な積立投資を行うこと
新NISAでは、つみたて投資枠を活用することができます。定期的な積立投資を行うことで、リスク分散効果やコスト平準化効果を享受しましょう。
6. リバランスを定期的に行うこと
資産配分のバランスを保つためには、定期的なリバランスが必要です。資産の状況を把握し、必要に応じてポートフォリオを調整しましょう。
以上が、新NISAを最大限活用するためのコツ6つです。これらのポイントを意識し、将来の資金作りに役立てましょう。新NISAは2024年から始まる新しい制度ですので、早めに準備をしておくことをおすすめします。
5. 新旧NISAのロールオーバーの取扱いと注意点
現行の一般NISAやジュニアNISAでは、非課税期間が終了した場合には口座内の金融商品を翌年の非課税投資枠へ移管することができます。この移管のことを「ロールオーバー」と呼びます。しかし、2024年から始まる新NISAでは非課税期間が無期限となるため、ロールオーバーの概念はなくなります。
ロールオーバーの取扱い
現行の一般NISAやジュニアNISAで運用している場合、新NISAへのロールオーバーはできません。具体的な取扱いは以下の通りです。
つみたてNISAをすでに始めている方
- つみたてNISAの制度は2023年末で終了し、2024年以降は新規買付ができません。
- つみたてNISAで保有している商品は引き続き20年間非課税で運用が可能です。
- 新NISAへのロールオーバーはできませんが、新NISAの「つみたて投資枠」を活用することで引き続き非課税制度を利用できます。
一般NISAをすでに始めている方
- 一般NISAの制度も2023年末で終了し、2024年以降は新規買付ができません。
- 一般NISAで保有している商品は引き続き5年間非課税で運用が可能です。
- 新NISAへのロールオーバーはできませんが、新NISAの「成長投資枠」を活用することで引き続き非課税制度を利用できます。
ジュニアNISAをすでに始めている方
- ジュニアNISAの制度は2023年末で終了し、2024年以降は新規買付ができません。
- ジュニアNISAで保有している商品は引き続き18歳まで非課税で運用が可能です。
- 2024年からは18歳未満でも商品の払い出しが可能になります。
- 18歳を迎えた後は課税口座に払い出されます。
NISA/つみたてNISAを始めていない方
- 現行NISAと新NISAの非課税保有限度額は別枠で扱われます。
- 2023年度中に一般NISAを始める場合、年間投資枠と非課税保有限度額が別枠で非課税で運用できます。
- まだNISAを始めていない場合、2023年中に始めることをおすすめし、NISAの利点である複利の効果を期待できるようにしましょう。
注意点
新NISAではロールオーバーの概念がなくなりますが、現行NISAでの非課税期間が終わるまで運用を継続するか、新NISAの別枠で非課税投資を行うかを検討し、自身の資金計画に合わせて適切な選択をしましょう。新NISAの特徴や各制度の取扱いについて十分に理解し、将来の資産形成計画に活かしましょう。
まとめ
新NISAは2024年からスタートする日本の新たな投資制度であり、旧NISAとはいくつかの違いがあります。新NISAでは投資枠の構成や非課税期間、投資上限額、生涯投資枠の設定などが変更され、より柔軟かつ長期的な資産形成が可能となっています。また、新NISAの最大の特徴は非課税期間が無期限であることです。これにより、一度非課税期間を終えても運用益を非課税で保有し続けることができます。また、新NISAは2024年から恒久化される制度であるため、長期的な資産形成を行う際にも安心して活用することができます。新NISAを最大限活用するためのコツとしては、適切な金融機関の選択、ダイバーシフィケーションの意識、長期的な視野での投資、適切な個別株式や投資信託の選択、定期的な積立投資の実施、そしてリバランスの定期的な実施が挙げられます。新NISA制度ではロールオーバーの概念がなくなるため、現行NISAでの非課税期間が終了するまで運用を継続するか、または新NISAの別枠で非課税投資を行うかを検討し、自身の資金計画に合わせて適切な選択をすることが重要です。新NISAは将来の資金作りに優れた制度であり、これらのポイントを押さえて活用することで、より効果的な資産形成を目指すことができます。
よくある質問
Q1. 新NISA制度には、投資枠ごとに異なる制限があるのでしょうか?
A1. はい、新NISA制度では成長投資枠とつみたて投資枠の2つの枠が設けられています。成長投資枠は年間240万円まで、つみたて投資枠は年間120万円まで投資することができます。
Q2. 既に一般NISAを利用していますが、新NISAへの切り替えは必要ですか?
A2. いいえ、旧NISAと新NISAは別々に扱われますので、既存のNISA口座をそのまま保有することができます。
Q3. 新NISAでは非課税期間が無期限となりますが、具体的な非課税投資期間はありますか?
A3. 新NISAでは非課税期間が無期限となりますので、一度非課税期間を終えた後でもいつまでも運用益を非課税で保有することができます。
Q4. 2024年から新NISA制度が始まりますが、既存のNISA口座を持っていない場合にはどうすればよいですか?
A4. 既存のNISA口座を持っていない場合、2023年中に一般NISAを始めることをおすすめします。一般NISAを始めることで、新NISAの別枠で非課税投資が可能となります。
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