「今の保険料、もしかして払いすぎではないか?」 「もしもの時に、この保障だけで本当に家族を守れるのか?」 そんな不安を抱えながら、毎月通帳から引き落とされる数万円の数字を、ただ眺めてはいませんか。
正直に申し上げます。これまで数多くの家計相談に乗ってきた実務家として言えるのは、日本人の約8割が、公的保障の厚さを知らないがゆえに「保険の入りすぎ」という底なし沼に陥っているという事実です。
特に休職中や家計の転換期にある方は、将来への恐怖から「安心」を買い足したくなります。しかし、中身のわからない保険を増やすのは、霧の中で闇雲に武器を買い揃えるようなもの。
この記事は、新しい保険を売るための解説書ではありません。あなたが今日、机の上の証券を自分自身の目で見極め、納得して仕分けを行い、「浮いた大切なお金を、将来の貯蓄や新NISA、暗号資産などの資産運用に回す」ための、現場直結の実戦マニュアルです。
- 生命保険の入りすぎチェックが必要な理由|「削れる保険」の境界線を知る
- 現状把握|保険証券・マイページを「1枚のリスト」に統合する
- 3. 必要保障額の基本|「最強の公的保障」を計算に組み込む
- 最速3ステップ計算術|あなたの「真の不足額」を算出する
- 5. 入りすぎ判定の基準|現場で即座に「削る」と決める3つのパターン
- 見直しの優先順位|減額・解約・払済・特約整理の「損しにくい順番」
- 目的別おすすめ設計|家族構成で「守るべきもの」の正体を見極める
- 比較・検討の落とし穴|「ランキング」や「安さ」に騙されないコツ
- 今日できるアクション|入りすぎチェックを「60分」で終わらせる
- 結論:保険はあなたの人生を豊かにするための「手段」でしかない
生命保険の入りすぎチェックが必要な理由|「削れる保険」の境界線を知る
一般論として、世間では「万が一に備えて、備えは多いほど安心だ」と刷り込まれています。しかし、実務の現場で私が目にするのは、その「いつか来るかもしれない安心」のために、今現在の生活が圧迫され、貯金すら満足にできていない本末転倒なケースです。
実はここだけの話、保険会社や営業担当者が使う「万が一」という言葉は、私たちの冷静な判断力を奪う呪文のようなものです。本来、民間保険は「自前の貯蓄では到底カバーできない、巨大な損失」への一時的な橋渡しであるべきです。しかし、多くの人が「不安の大きさ」に比例して「保険金額」を積み上げてしまっています。これは、穴の開いたバケツに必死に水を注いでいるようなものです。
正直なところ、私も駆け出しの頃は「多い方がいい」と考えていました。しかし、何百件もの給付請求の現場に立ち会う中で、本当の安心は「手厚い保険」ではなく「適正な保障額と、自由に動かせる現金」のバランスにあると確信しました。数字に基づいた「冷徹な判断基準」を身につけることこそが、将来の不確実性に対する唯一の、そして最強の防御策となるのです。
1-1. 検索意図の裏側:なぜ多くの人が「保険 いらない」と検索するのか
多くの人が「保険 いらない」と検索する背景には、単なる節約志向を超えた、「複雑すぎて納得感がないことへの強い不信感」があります。
実務の現場で相談者に尋ねると、皆さん「何かあった時にいくら入るか」は知っていても、「なぜその金額が必要なのか」を説明できる方は皆無です。以下の3点を冷静に確認することから見直しが始まります。
- 生活の継続性: 万が一が起きた翌日から、家族が今の家で暮らし、今の教育を受けさせるために「月々」いくら必要か。
- 制度の活用: 国(遺族年金)や勤務先から、すでにあなたが「購入済み」の保障がいくらあるか。
- 卒業の定義: 貯蓄がいくら積み上がれば、民間保険という「有料の盾」を捨てて自由になれるか。
1-2. この記事のゴール:複雑な特約を捨て「引き算」で考える習慣を
保険選びを難解にしている最大の要因は、主契約という「幹」に、大量の特約という「枝葉」がトッピングされていることにあります。
この記事では、それらを一度すべてリセットし、「総支出 - 総収入 = 不足分(保険で備えるべき額)」という、シンプルな算数に落とし込むことを目指します。
「重要だから入っておきましょう」という抽象的な言葉を、「この計算で出た▲●●円を埋めるために入る」という具体的な動作に変換してください。この思考法が身につけば、どんな新商品が出てきても、二度と惑わされることはありません。
1-3. プロの視点:ランキングや「担当者のおすすめ」を疑うべき理由
比較サイトのランキングで1位の商品が、あなたにとっても最適であるとは限りません。実務家として特に注意してほしいのは以下の点です。
- 更新型の罠: 保険料が極端に安く見えるランキング上位品は、一定期間ごとに更新が必要で、将来的に保険料が跳ね上がるタイプが多く見られます。
- 告知の壁: オンライン生保は安価ですが、休職歴や持病がある場合、告知事項が仇となって加入できない、あるいは支払い時にトラブルになるリスクを専門家に相談できません。
- 支払いスピード: 現場では「契約しやすさ」よりも「給付金請求時の担当者のフットワーク」が重要になる局面があります。
こうした「表に出てこないリスク」を判断するための物差しを、次章から詳細に提示していきます。
現状把握|保険証券・マイページを「1枚のリスト」に統合する
見直しの第一歩は、敵(支出)を知ることです。証券の細かい文字をすべて読む必要はありません。実務の現場で私が相談者に最初にお願いするのは、バラバラの証券をかき集め、A4用紙1枚のシンプルなリストに統合することです。
実は、保険会社の書類はわざと読みづらく、複雑に作られているのではないかと疑いたくなるほどです。しかし、整理してみると、見るべきポイントは驚くほど少ないことがわかります。
大切なのは、「契約したときの安心感」ではなく「今の保障内容」を正確に把握することです。古い契約をそのままにしていると、現代の医療体制に合わず、いざという時に「1円も支払われない」という悲劇すら起こり得ます。まずは情報の断捨離を行いましょう。
2-1. 契約書で必ず確認する「6つの主要項目」
証券を広げ、以下の6つのポイントだけを書き出してください。これ以外の文字は、今の段階ではすべて「ノイズ」として無視して構いません。
- 保険期間: 何歳まで守ってくれるのか(80歳まで?終身=一生涯?)。
- 死亡保険金額: 今、万が一のことが起きた際に、家族に一括でいくら入るのか。
- 払込期間: あと何年、保険料を払い続ける義務があるのか(60歳払込完了?終身払い?)。
- 毎月の保険料: 通帳やクレジットカードから引かれている「本当の合計額」はいくらか。
- 特約の内容: 「がん診断給付金」「入院日額」など、主契約以外に何をトッピングしているか。
- 解約返戻金: 貯蓄型の場合、今この瞬間にやめたら、手元にいくら現金が戻ってくるのか。
これらを1行ずつ書き出すだけで、あなたの家計を縛っている正体が可視化されます。
2-2. 役割による仕分け:その保険の「本当の出口」はどこか
保険には、大きく分けて3つの出口(目的)があります。ここを混同して「なんとなく」入っていることが、入りすぎの最大の原因です。
- 掛け捨て(定期・収入保障): 安く大きな保障を買う。期間が終われば価値はゼロ。これは「安心のコスト」です。
- 貯蓄型(終身・養老・年金): 将来の教育費や老後資金として残す。保障もつくが保険料は高い。これは「強制貯蓄」です。
- 運用型(外貨建て・変額): 投資効率を重視。為替リスクや株価変動リスクがある。これは「投資」です。
自分が払っているお金が「コスト」なのか「貯蓄」なのか「投資」なのか。この分類を明確にしてください。
2-3. 重複チェック:二重払いの罠を回避する具体的動作
特に見落としがちなのが、無意識のうちに加入している**「見えない保険」**です。現場では、ここを見直すだけで月額1万円以上の削減になるケースがザラにあります。
- 住宅ローンの団信: 住宅ローンを組んだ際、すでに大きな死亡保障(万が一の際にローンがチャラになる仕組み)を確保しています。賃貸時代の古い死亡保険は、この瞬間に不要になります。
- 会社の団体保険: 毎月の給与から天引きされている少額の保険を軽視しないでください。福利厚生で非常に安く、手厚い保障がついている場合があります。
- カード付帯保険: 年会費を払っているクレジットカードに、入院保障や個人賠償責任保険がついていないか、約款を確認してください。
これらを整理するだけで、月額数千円〜1万円以上の重複が見つかることは珍しくありません。

3. 必要保障額の基本|「最強の公的保障」を計算に組み込む
民間保険は、あくまでも国が提供する強力な公的保障の「隙間」を埋めるための予備です。実務家として断言しますが、日本の遺族年金や高額療養費制度は、世界的に見ても極めて充実した「最強のセーフティネット」です。
これを知らずに保険に入るのは、防弾チョッキを重ね着した上に、さらに重い鎧を着込むようなものです。動きにくくなり(家計が苦しくなり)、結局は身を滅ぼしてしまいます。
現場の相談者には、まず「自分がいくら国から受け取れるか」の受給権を確認してもらいます。多くの人が「年金なんてあてにならない」と言いますが、遺族年金はあなたが保険料を払っている以上、国が法的に保証している強力な権利です。これを前提とした「引き算」が、見直しの極意です。
3-1. 遺族年金のシミュレーション:国から毎月いくらもらえるか
あなたが会社員(厚生年金加入者)で、お子さんがいる場合、あなたが万が一の際に家族が受け取れる「遺族年金」は想像以上に手厚いです。
- 平均的なモデル: 会社員の夫(平均年収500万程度)が亡くなった場合、妻と小学生の子一人の世帯には、月額でおよそ13万円〜15万円程度の年金が支給されます。
- 計算のヒント: 日本年金機構の公式サイトにある「ねんきんネット」を活用すれば、自身のキャリアに基づいたより正確な受給額を可視化できます。まずはこの「すでに手に入れている保障」を知ることから逃げないでください。
3-2. 支出の積み上げ:遺族に残すべき「本当の金額」を定義する
残された家族の将来の支出を、以下の3つのブロックで積み上げます。実務的には、ここを盛りすぎないことがコツです。
- 生活費: 現在の月額生活費の70%を目安にします。あなたがいない分、食費、衣類代、お小遣い、光熱費の一部は確実に減るからです。
- 住居費: 持ち家で団信があれば、住居費は固定資産税等のみ(月2〜3万円)となります。賃貸なら、今の家賃をそのまま計上しますが、実家に帰る選択肢があるなら大幅に削れます。
- 教育費: 子供一人につき、大学卒業まで「すべて国公立なら1,000万円」「すべて私立なら2,000万円」を標準値として置きます。これを「保険で」準備するか「貯蓄で」準備するかは別問題です。
3-3. 収入の積み上げ:民間保険以外に頼れるリソースは何か
支出から引くべき「収入」には、以下のものが含まれます。これらを合算したものが、あなたの家庭の「自衛力」です。
- 公的年金: 先ほど確認した遺族年金の受給総額(受給月額 × 必要月数)。
- 現在の貯蓄・資産: 銀行預金、株式、積立投資信託。そして、もし保有しているならビットコイン(BTC)などの暗号資産も、現在の時価の半分程度は堅実な資産としてカウントすべきです。
- 配偶者の収入: パートナーが今後働き続けることで得られる生涯賃金の概算。
- 会社からの給付: 死亡退職金や弔慰金の規定を、就業規則で必ず確認してください。300万〜1,000万円程度の隠れた保障が見つかることがあります。
最速3ステップ計算術|あなたの「真の不足額」を算出する
複雑なソフトや専門知識は不要です。現場で私が相談者に伝えている「10分で終わる計算術」を公開します。数万円の誤差は気にせず、「大まかな桁」を把握することが、行動へのスイッチになります。
よくある勘違いですが、必要保障額は一度出したら終わりではありません。子供の成長、貯蓄の増加、資産(ビットコイン等)の値上がりによって、毎年「減っていく」のが自然です。
今の自分に、どれだけの「差」があるか。その正体を暴くための3ステップを実行してください。
4-1. ステップ1:遺族の「総支出」を算出する
まずは出ていくお金の合計です。 「(月額生活費の70% + 住居費) × 12ヶ月 × 必要年数(末子が自立するまで)」 これに、教育費(1,000〜2,000万)と葬儀・整理資金(300万程度)を加算します。
例:30歳夫婦・子1人の場合、生活費15万×12ヶ月×22年(18歳独立なら18年) + 教育費1,500万 + 整理資金300万 ≒ 5,760万円。
4-2. ステップ2:保険以外の「総収入」を算出する
次に、頼れるお金の合計です。 「(遺族年金 + 配偶者の手取り年収) × 必要年数」 これに、現在の貯金総額、さらには積立中の資産、退職金の見込み額をすべて足します。
例:遺族年金150万+配偶者年収100万×22年 + 貯蓄500万 ≒ 6,000万円。
4-3. ステップ3:不足分(マイナスの数字)だけを保険で埋める
ステップ1からステップ2を引いた結果が、あなたの本当の必要保障額です。 「5,760万円(支出) - 6,000万円(収入) = -240万円」
この例の場合、貯蓄と年金だけで生活が成り立つため、**「大きな死亡保険は1円もいらない」**という衝撃的な結論が出ます。 もし、あなたが今3,000万円の死亡保険に入っているなら、それは完全に「入りすぎ」です。浮いた保険料をすぐに資産運用に回すべきです。

5. 入りすぎ判定の基準|現場で即座に「削る」と決める3つのパターン
計算の結果、「入りすぎ」が判明したとしても、具体的に「どの保険から手をつければいいのか」と悩むはずです。実務の現場で私が「これは即、メスを入れるべきですね」とアドバイスする典型的なパターンを3つ紹介します。
実は、保険を見直すのは勇気がいります。「何かあったらどうしよう」という不安を、保険会社は巧みに利用してきます。しかし、本当のリスクは「不要な保険料を払い続け、将来のための資産形成が遅れること」の方です。
以下の3つの診断基準に当てはまっていないか、あなたのリストと照らし合わせてみてください。
5-1. 死亡保障が「厚切り」になっている多重加入
「付き合いで入った終身保険」「会社で勧められた定期保険」「自分で調べた収入保障保険」がすべて並行して走っているパターンです。
- 実務的な判断: それぞれの目的が重複していないか確認してください。どれか一つ、あるいは二つの安価な組み合わせで「ステップ4で出た不足分」をカバーできているなら、他はあなたの資産形成を阻害するだけの不要な固定費です。
- 動作指示: 特に「更新のたびに保険料が上がる定期保険」は、真っ先に解約または減額の候補に挙がります。
5-2. 医療保障が「貯蓄」を食いつぶしている本末転倒
「入院したら1日1万円もらえるように」と、月々高い保険料を医療保険に払っている方は要注意です。
- 実務的な判断: 日本には高額療養費制度があります。一般的な年収の方なら、月の医療費自己負担は実質8〜9万円程度(差額ベッド代除く)で頭打ちになります。
- 物差し: 入院日額5,000円もあれば十分です。それ以上の差額を埋めるために月数千円払うなら、その現金をプールしておき、病気以外のリスク(失業や急な出費)にも備えられるようにしておく方が圧倒的に合理的です。
5-3. 保険料が「手取りの10%」を超えている異常事態
貯蓄型保険の積立分を除き、純粋な掛け捨ての保険料だけで手取りの10%を超えている場合、それは家計のバランスが完全に壊れています。
- 実務的な判断: 資産形成(新NISAやビットコイン等の定期購入)が満足にできていない中で、保険料だけを律儀に払い続けるのは、**「将来の最悪なケースのために、今の生活と将来の自由を犠牲にしている」**状態です。
- 最初のアクション: 優先順位を「現金・資産の確保」にシフトし、保険は「最小限のコストで、どうしても貯蓄では埋められない巨大な穴(死亡保障など)だけを埋める」形へリセットしましょう。
見直しの優先順位|減額・解約・払済・特約整理の「損しにくい順番」
ここからは、いよいよ具体的な「実行」フェーズです。保険を見直す際、いきなり「解約」を選択するのは、素人が陥りがちな最大の罠です。実務家が現場で推奨する、家計へのダメージ(損失)を最小限に抑えつつ、固定費を劇的に下げるための「損しにくい順番」を伝授します。
実は、この順番を間違えると、これまで数十年払ってきた解約返戻金をドブに捨てることになりかねません。正直に言えば、保険会社が一番やってほしくないのが、この「損をしないための裏技」です。判断の物差しは、「今までの支払い」ではなく、「これから払うお金が、将来のあなたにどれだけの価値を生むか」。この冷徹な視点を持って、以下の3ステップを進めていきましょう。
6-1. 支出を即座に下げる「特約」のピンポイント削除術
最もリスクが低く、即効性があるのが「特約の整理」です。主契約(メインの保障)はそのままでも、トッピングされたオプションを外すだけで、月数千円の削減が可能です。
実務の現場で特によく見るのは、医療保険に付いている「死亡特約」や、別の生命保険でカバーできている「入院特約」が重複しているケースです。これらを一つずつ外しても、メインの保障には影響しません。月数百円の特約でも、30年払えば数十万円の差になります。
まずは証券の特約欄をスマホで撮影し、カスタマーセンターへ電話して「この特約を外した場合、保険料はいくら安くなるか」を尋ねる。これだけで、ランチ数回分のお金が毎月浮くことになります。今すぐできる、最もノーリスクな固定費削減の第一歩です。
6-2. 死亡保障の「サイズ」を子の成長に合わせて最適化する減額術
次に検討すべきは、保障のサイズを今の生活に合わせる「減額」です。「全部やめる」のではなく、例えば3,000万円の保障を2,000万円に引き下げる見積もりを依頼する。
子供が成長するにつれ、将来必要になる学費(残りの必要保障額)は、理論上、毎年確実に減っていきます。それなのに、加入時の大きな保障額のまま、定額の保険料を払い続けるのは不経済でしかありません。
5年、10年といったスパンで保障額を段階的に下げていくのは、実務的にも非常にスマートな見直し方です。保険を完全にやめるわけではないため、万が一の備えを残しつつ、月々の固定費を確実に削減できます。今の貯蓄額が増えているなら、その分だけ保障を小さくして、固定費を削る決断をしてください。
6-3. 早期解約の損失を防ぐ「払済保険」という実務家の奥義
最も判断が分かれるのが貯蓄型です。解約すると損をする……そんな時は「払済(はらいずみ)保険」への変更を検討してください。これは、解約返戻金を無駄にしないための、実務家の奥義とも言えるテクニックです。
「払済保険」とは、以降の保険料支払いをストップし、その時点の解約返戻金をもとに、保障期間は変えずに「保障額だけを小さくして残す」方法です。月々の支払いがゼロになる一方で、保障は一生涯続きます。
さらに、将来受け取れる解約返戻金は、据え置くことで少しずつ増えていくタイプが多いため、今すぐ解約して損を確定させるより圧倒的に有利です。今の家計を楽にしつつ、これまで払った分を無駄にしない。この「払済」の可否を、必ず窓口で確認してください。

目的別おすすめ設計|家族構成で「守るべきもの」の正体を見極める
保険設計に「一律の正解」はありません。ライフステージに合わせて、どこにコストを集中させ、どこを捨てるかを整理しましょう。実務家としてアドバイスするなら、最も大切なのは「世帯のキャッシュフローのどこに穴があるか」を見極めることです。
正直、独身の方に高額な死亡保障は不要ですし、共働き世帯が片方の保障だけに偏るのもリスクです。「みんなが入っているから」という同調圧力ではなく、あなたの家族構成と資産状況に合わせた、オーダーメイドの優先順位を整理していきましょう。
7-1. 子育て世代の黄金律:低コストな「収入保障保険」を主軸に置く
お子さんが小さい時期は、数千万円という巨大な死亡保障が必要になります。しかし、これを終身保険で準備しようとすると、保険料だけで家計が破綻しかねません。
プロが推奨するのは、亡くなった時に一括で受け取るタイプではなく、毎月定額が支払われる「収入保障保険」です。時間の経過とともに、将来受け取れる総額が減っていく合理的な仕組みのため、保険料が極めて安く設定されています。
設計のコツは、葬儀費用だけを少額の「終身保険」で持ち、膨大な教育費が必要な期間(末子の独立まで)だけをこの「収入保障保険」で補うこと。この二段構えこそが、最も効率的で、家族の生活を盤石にする守り方です。
7-2. 共働き世帯の盲点:遺族年金の差を埋める「依存度別」の按分設計
共働き世帯の失敗は、夫側に保障が偏りすぎている、あるいは夫婦で特約が重複しているケースです。現代の共働き世帯に、過去のモデルは合いません。
判断基準は、お互いの年収の「依存度」です。夫婦の年収が同程度であれば、保障も夫婦で半分ずつ持つのが合理的です。また、一方が会社員、もう一方が自営業(国民年金)の場合、遺族年金の受給額に大きな差が出るため、その「差」を民間保険で埋める設計をしてください。
動作指示としては、夫婦それぞれの就業規則を並べ、お互いの「見えない保障(団体保険など)」を合算してから不足分を追加します。片方の保障に頼りすぎないことが、家計のリスクヘッジになります。
7-3. 独身・DINKsの防衛:死亡保障を捨て「働けなくなるリスク」を現金の盾で防ぐ
守るべき「遺族」がいない、あるいは少ない場合、保険の目的は「自分自身のサバイバル」にシフトします。独身であれば、葬儀費用程度の少額な終身保険(200〜300万円)があれば十分。
それよりも深刻なリスクは、亡くなることよりも「病気やケガで長期間働けなくなるが、支出が続く」状態です。そのため、死亡保障よりも「就業不能保険」への加入を優先的に検討してください。
そして何より、浮いた保険料は、新NISAやビットコイン(BTC)の積立に回すべきです。他人が作った「保険」という不自由な盾に依存せず、自分の資産という「最強の盾」を育てるのが、最も合理的なリスクヘッジです。
比較・検討の落とし穴|「ランキング」や「安さ」に騙されないコツ
具体的な商品選びの段階で、後悔しないための実務的なテクニックを解説します。比較サイトの1位の商品が、あなたにとっても最適解であるとは限りません。むしろ、手数料が高い商品が上位にきている可能性すら疑うのが実務家の性(さが)です。
正直、数円の保険料の差に執着するよりも、保障の範囲や支払い条件に「穴」がないかを確認する方が、万が一の際の明暗を分けます。商品名というブランドに惑わされず、数字と条件という「共通言語」で比較するスキルを身につけましょう。これができれば、二度と営業担当者のセールストークに振り回されることはありません。
8-1. 商品ランキングの裏側:販売手数料と「更新型」の落とし穴
ランキングは「売りやすい商品」の指標にすぎない場合があります。実務の現場では、ランキング上位の商品が、特定の告知事項(過去の病歴など)に引っかかり、結局加入できなかったという例を何度も見てきました。
また、保険料が極端に安い場合、更新ごとに保険料が段階的に跳ね上がる「更新型」であるケースが多々あります。30代では安くても、50代で払いきれない額になる……そんな設計になっていないかを確認してください。
安さの理由を突き止める癖をつけましょう。「なぜこの商品は他より安いのか?」を窓口で問い質し、納得できる理由(ネット専業で経費が少ない、保障範囲を絞っている等)があるものだけを候補に残すべきです。
8-2. 同条件比較の鉄則:見積もり前に4つの条件をガチガチに固定する
複数の会社を比較する際は、必ず同じ土俵に上げてください。以下の4点をメモに固定し、これらがブレないようにします。
- 保険金額: 計算して出した「不足分」(例:月額20万円)。
- 保険期間: 「60歳まで」や「末子独立まで」と期間を統一。
- 免責事項: 「精神疾患も対象か」「支払われない期間は何日か」を揃える。
- 特約: 「がん特約は一律なし」など、素の状態にする。
条件を一つ変えるだけで保険料は大きく変わります。必ず「全く同じ中身」で見積もりを取り直し、純粋にコストパフォーマンスを比較してください。
8-3. 乗り換えの防衛策:空白期間と告知義務違反による「不払い」を防ぐ
今の保険を解約して新しい保険に切り替える際、最も恐ろしいのは**「保障の空白期間」**を作ってしまうことです。
新しい保険の審査が通り、第1回目の保険料が引き落とされるまで(またはクレジットカードの承認まで)、今の保険を解約してはいけません。万が一、切り替えの最中に不慮の事故が起きれば、新しい保険に入れず、今の保険も使えないという最悪の事態になります。
また、がん保険には一般的に「90日の免責期間(待ち期間)」があります。申し込んでから3ヶ月間は、がんと診断されても給付金が下りません。この期間は、今の保険と新しい保険を「二重払い」してでも、保障を重ねるのが実務家としての鉄則です。
今日できるアクション|入りすぎチェックを「60分」で終わらせる
最後に、この記事を「読んでよかった」で終わらせないための、具体的なアクションプランを提示します。保険の見直しは、人生における大きな節税と同じだけの価値があります。だからこそ、一日で終わらせてしまうのがコツです。
実務家として言えるのは、行動しなければ不安は一生消えないということです。逆に、たった1時間動くだけで、今後20年で数百万円の差が出ます。時給換算すれば、これほど効率の良い仕事はありません。さあ、ペンとスマホを用意して、最後の一歩を踏み出しましょう。
9-1. ステップ1:証券の要点をスマホで撮影・転記(15分)
家中の保険証券をテーブルに出し、主要項目を撮影してください。その上で、メモアプリ等に「会社名:月額●●円」というリストを作成します。
証券が見当たらない場合は、マイページにログインするか、通帳の引き落とし履歴を確認してください。まずは「どこの会社に、いくら払っているか」をすべて特定することが、混乱から抜け出す唯一の道です。受取人が今の状況(離婚や再婚など)と合っているかも、このタイミングでチェックします。
9-2. ステップ2:簡易シミュレーターで「不足分」を計算(30分)
本記事で紹介した「総支出 - 総収入」を自分自身の数字で実行します。
- [日本生命]や[ライフネット生命]などの公式サイトにある「必要保障額シミュレーター」を2つほど使う。
- 自分の計算と大きなズレがないかを確認する。
- もし、ビットコインなどの資産を保有しているなら、その時価の半分程度を「収入」側に加算する。
この計算の結果、今の保険金額が数百万円単位でオーバーしているなら、それは立派な「見直しの根拠」になります。
9-3. ステップ3:カスタマーセンターへ電話して見積もりを依頼する(15分)
最後は、保険会社のコールセンターへの連絡です。「解約したい」と言う必要はありません。「今の内容で特約を外した場合、または死亡保障を半分にした場合、保険料はいくらになりますか?」と見積もりを依頼するだけです。
安くなった保険料で、新NISAの積立額をいくら増やせるか、想像してみてください。それがあなたの新しい人生の設計図になります。
結論:保険はあなたの人生を豊かにするための「手段」でしかない
正直なところ、現場で多いのは「不安だから」という理由で毎月高い保険料を払い続け、肝心の貯蓄や投資ができていない「守りすぎて動けなくなっている」ケースです。
保険はあくまでもツールです。迷うなら、まずは**「今ある資産だけで、家族が半年〜1年間生活できるか」**を確認してください。もしそれが可能なら、あなたはすでに世界で最も強力な保険、つまり「現金」という盾を持っています。
浮いた数万円を資産運用に回せば、複利の力で10年後、20年後のあなたの自由度は飛躍的に高まります。 保険証券を整理することは、過去の不安と決別し、未来の希望を設計することと同義です。
さあ、今すぐペンと電卓を手に取ってください。そこから、あなたの新しい資産形成の物語が始まります。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました!

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